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'03 10/5(日)

  お待たせしました。ギリシャCD入荷しました!
まずは、2003HARIS ALEXIOU=この秋の新作"To The End Of Your Heaven" です!
SONYから古巣のミノス系EMIに復帰してのスタジオ録音。ハリス自身によるセルフ・プロデュース作で、前スタジオ作の "PARAXENA FOS" に較べると、ややオーソドックスなライカ調アルバムです。バックも、ほぼ聴いた感じはブズーキ等のギリシャ的な弦アンサンブルをフィーチュアーしたアコースティック路線なのですが、ふしぶしに目立たない工夫が凝らされ、細かいプログラミング等も効果的に配した丁寧な作り。アルバム中、自作曲を4曲を提供しているヨルゴス・セオファヌースはじめ、6人ものアレンジャー達が職人ワザを競っています。若手異才のピックス・ラックスや、やはり若手男性のヤニス・コツィラースが参加、ハリスとデュオを取る曲もあります。ゆったりした曲が多いせいか、その円熟の歌い口、より深みを増した上に、これまでになく包容力みたいなもの、慈愛みたいなものを感じさせてくれたりもします。ギリシャのディーヴァ新作、ファンの方はもちろん、ファン以外の方も、是非お試しあれ!豪華ボックス入りは、おそらく初回のみでしょう。英訳歌詞&ノーツ付。

そのほか、ギリシャ奇麗どころ新作の数々、とりあえずはジャケのみですが、ご覧あれ!(コメントはユーロCDニュー・アライヴァル・コーナーに立ち上げますので...。)それにしても、いろんなタイプ、華やかですが、それぞれにギリシャ音楽の歌謡性、あるいはそのルーツを、今の表現としてクールに達成してくれている頼もしい綺麗どころ、ばかりです。ユーロな風あいを装いながらも、隣国トルコや、アラブのPOPにもつながっていく楽しさ、そしてギリシャならではの哀感、きっちりプログラミング&アコースティックの急所も押さえて、ポップに、トラッドに、ライカ・ムードを聞かせてくれる充実作がそろってます。一応、当店で推してみようというアイテムですから、近年、彼の国でそれなりに流行っている、イケイケのユーロ・ビートorトランシーなテクノ調ギリシャ・ポップでないことは保証しましょう。
ところで、男性歌手は?という声も聞こえそうですが、とりあえず、無視、というわけでもないんですが、今年の新作には、女性歌手の健闘が今のところ目立っているようで...、というか、やっぱりこのポートレイト・ジャケット、むさい男性歌手よりは惹かれてしまいました、すみません。追々また男性歌手も品揃えしますので、次回あたりの入荷を、お待ち下さい。というわけで、よろしく、どうぞ。


 

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'03 10/5(日)サラームのパリ、バルベス買い付け

サラームアリクム。海上です。9月末になんと現地滞在3日でパリに取材に行ってきました。最後の一日に時間が空いたので、久々にバルベスのアラブ音楽専門店に行き色々と買い込んできました。行く前は「ライはまだカセット中心」なんて言われてましたが、いやいや幾らでもありますよ。新人&新譜のCDが!

真ん中の写真はバルベス駅の交差点からレコ屋に向かう通りです。こんなとりとめの無い写真で申し訳ないのですが、これ以上進むと、路上でなにするでなく戯れてるベルベル〜アラブ〜西アフリカ系のヤング達が数百人こちらの動向を伺われてしまうので写真撮影は不可能に近いのです。申し訳ないです。右の写真はライについて二時間以上も講釈を垂れてくれたアッパーなオヤジ、その名もバグダッドと、その従順な使用人ムスタファ君です。ムスタファ君はパリ生まれで若いのにアラブ音楽一筋。ライ、アルジール、湾岸ポップ、古典、シャアビはOKだけどアラブ系移民のやってるヒップホップ(アケナトンとかiamとか)は全く聴かないとのこと。バグダッドオヤジは「アラブ系移民の作るヒップホップはラシズムを増長するだけだ。アレは良くない!」と言い切ってました。確かに差別を糾弾すべくして生まれたヒップホップがいつのまにかギャングの新たなお金稼ぎの手段になったり、コミュニティ内の階級を生んだりしてる訳でそういう見方もありますね。

(1)(2)(3)

(4)(5)(6)

1. DOUZI / "MANI ZAAFAN" / 2003 FASSIPHONE, BELGIUM
2. ZAHOUANIA / "ZAHOUANIA" / 2003 ETOIRE VERTE, FRANCE
3. CHEBA FATI / "LA FICHEUR" / 2003 EDITION BOUALEM, FRANCE
4. CHEB HASSEN / "N'TIA TALIA" / 2003 MUSIC 2000, FRANCE
5. JADWANE / "FES MAATIC PRESENTE LE NOUVEAU AVEC JADWANE" / 2003 FES MAATIC MAROC
6. FAUDEL / "UN AUTRE SOLEIL" / UNIVERSAL, FRANCE

さて肝心のライの内容ですが、音的には平均して10年前のワールドミュージック・ブームの頃のシェブ・マミORシェブ・カデールのアルバムのレベルです。それじゃ聴く意味ないよ!って早まらないで下さい。少なくとも当時のライの平均レベルはチャチなカシオトーンとバランスの悪いミックスだったことを思い出して下さい。かなり底上げが進んでるってことですよ。世の中の流れより10倍くらい遅いけど。当時マミやカデールは苦心して音質を上げてたし、ハレドの「クシェ」だけが特殊だったんですよ。その後ドン・ワズがプロデュースしたハレドの「ハレド」がヒットして、マミも後追いのフォーデルも欧米のプロデューサーを付けてそのレベルの作品を作り、欧米スタンダードのAOR的(つまらない)音がメジャー会社からのライとなりました。それ以降10年間新たな音的な冒険がないのでライは袋小路と言われてますが、元々音的に進歩することにあまり意味を見いだせない人種なのかもしれないですよ。それをつまらないと一言で言っていいのか?いいのでしょうけど。無責任な音楽リスナーとしては。
そんなライを知るのに数枚推薦盤を。1はモロッコの新人ライ歌手。一曲目からなんとパンジャビMCの「ムンディアン・ト・バッチェ・ケ」をライ風にカヴァーしてます。この曲はエジプトのハスナやトルコのダヴド・ギュロールにもパクられてましたが、カヴァーってのはこれが初じゃあないでしょうか。2はアイランドからUK盤も発売されたことのある往年のスター歌手シェバ・ザフーアニアの最新作です。6/8バリバリの当時の音そのままで、一体この10年間何やってたんだって聞きたいくらいですよオレが。でも確実に低音は太くなっていてグルーヴィー。ライとグナワ、ベルベル伝統歌の共通項を感じます。3は金沢大学粕谷先生の「ライ大好き」で報告されていた最新型ライ「ライ・ロボティック」の人気女性歌手です。「ライ・ロボティック」ってのは今のトレンドで単にヴォーカルをハーモナイザーやヴォコーダー処理してるだけなんですが、なぜか大人気で今の主流なんですよ。「ライ・ロボティック」憶えておいてそんはないです。4はもうちょっとジャケなんとかしろ!って思いますが、シェブ・ハッセンという男性歌手でやはり「ライ・ロボティック」です。5はモロッコの新人歌手らしいです。オッサンなのに。普通のライとはちょっと異なりより演歌的なモロッコ・ポップスです。6はパリのFNACでも大々的に展開されていたフォーデルの新作です。宇多田ヒカルで知られるゴー・ホトダのプロデュースで、案の定ヴァリエテ・フランセーズ的な音で2/3はフランス語で歌ってます。まあライにもいろんなタイプの歌手がいるってことですよ。

 

(7)(8)(9)

7. NASS EL GHIWANE / "TRANSE MUSIQUE DU MAROC" / NIGHT & DAY, FRANCE
8. 100% DAKKA MARRAKCHIA / "KARIMA"/ 2003 FASSIPHONE, BELGIUM
9. DAHMANE EL HARACHI / "LE REGRETTE INEDIT" / EVASION SOUUS MUSIC, FRANCE

ライ以外と言うとグナワ、モロッコ・ポップス、シャアビなんかもたっぷりありましたね。と言ってもたっぷり買ってきた訳じゃなく...申し訳ないのですが...まあ今回ルートを作ったので次回入荷もアリ?です!で7はモロッコ伝説のグナワ出身70年代ロックバンドってどこがロックなんだかわかりませんがジャケを見てもわかるとおりジョン・ロードかジョージ・ハリスンかって具合のグナワ系です。8はグループ名で買い、ダッカ・マラクチア!相当ワルそうな匂いがプンプンします。現在人気のグナワ・グループです。9はラシッド・タハの代表曲となった「YA RAYAH」の作曲者、ダーマヌ・エル・ハラチのアンソロジーです。「YA RAYAH」クラスのベルベル泣きの名曲が詰まってます。そういえば当店で人気のエッサウィーラ・グナワ・ミュージック・フェスティバルのコンピ盤もどの店でも大プッシュしてました。これからはグナワの時代? 来年の同フェスティバルには行くつもりです。 その他にもモロッコのライやアルジェリアのグナワなども一点ずつ入荷してます。店頭でチェックしてみて下さい。

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