ギリシャを代表する女性歌手＝ハリス・アレクシウのスタジオ盤０６年作〜ハリスのファンなら納得していただける出来映え、だと思います。既に３５年ほどのキャリアを持ちながら、自己模倣に陥ることなく、常に新たな境地を聴かせてくれる彼女です。本作でも地中海風味満点のアコースティック・アンサンブルの中に、バルカン系の音楽要素を濃く打ち出し、新鮮な感触のギリシャ歌謡を創出しているわけです。バルカン〜ことにブルガリア風の旋律とリズムが、地に足のついたミクスチャー感覚の中で、ギリシャならではの陰影を聴かせるハリスの歌声を後押ししています。これまでになく母性的な表情も垣間見せるその歌声、女王の風格に柔和な色彩も添えて響いてくれるでしょう。